Naruhodo-Blog

情報を整理して、ちょっと考えてみました。

あらま!自治体職員の本音。

自治体の大混乱は現場で起きている。

空(現状の課題認識)

何と「特別定額給付金」10万円のオンライン申請を、43の地方自治体が中止した。そこで、自治体の生の声を聞くべく、区役所に取材に出かけると(丁重に)、窓口の女性は、少し場所を移動して言いにくそうに、「あの〜、大変というか、オンライン申請でなく、郵送の申請の方が・・・早い。言いにくいです。ごめんなさい」とその女性は、身をかがめて、小声で話してくれました。

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「もうオンライン申請したんですが、支払いはいつ頃になりますか」・・と私が言うと、その女性は、目の下がピクピクと痙攣し始め、困った顔になった。なので「大丈夫です。支給はもう7月でいいです。お疲れ様です。区民は味方ですから」と言ってしまった私。混乱は現場の自治体で起きているんです。

 

補足的に話を聞くと、この10万円申請は、「マイナンバーカード」を使ったオンライン申請と、郵送での申請の2種類があります。郵送申請の場合、親切なことに既に申請書に名前、住所、生年月日、給付対象者が印字されているので、我々は銀行情報を入れるだけで、自治体も処理がしやすい。しかし、オンライン申請の場合、自治体は、チェックするために住民基本台帳と、ひとつひとつ照合を目視でやらねばなりません。

 

雨(課題の深堀り)

自治体は、日常業務で住民基本台帳を使っています。その台帳には、「マイナンバー」も当然入っている。なので、この「マイナンバー」とオンライン申請(マイナポータル)が紐付いていれば、処理はスムーズだったかもしれない。しかし!オンライン申請をした時、カードのICチップのなかには「マイナンバー」がなかったのです。そして、マイナポータルで「マイナンバー」を記入する場所もなかった。

 

実は「マイナンバー」(番号)は、厳しい法律があって、この番号情報を、カード内に保管できなかった。つまり、オンライン申請では、どこにも「マイナンバー」情報がなかった。これが今回の問題の本質かもしれないと思いました。それゆえ、実際に現場の自治体でオペレーションする時、大混乱をしたのです。

 

傘(結論と希望)

大混乱の原因はひとつ。オンライン申請で、「マイナンバーカード」を使ったことです。別に使わなくても良かったかもしれません。

 

でも、今回の大混乱で、国も大きなフィードバックを得ました。今後、「マイナンバーカード」を使うなら、厳しい法律を変えて、「マイナンバー」の情報も入れればいいのです(難しそうですが)。そうすれば、自治体も使い易くなる。こうすれば、みんなハッピー。

 

人間の社会はチャレンジして、取り敢えずやってみることも大事で、やってみて学ぶことも多い。特に日本は国難の中、暗中模索なのですから。

 

ただ、ひとつだけ気になるのが、この「マイナンバーカード」は、今後、普及するのかどうか。そもそも取得は任意、20歳以上の人は、5年ごとに更新、カード作成に数ヶ月も時間がかかります。それを、この国の国民が使いたがるかどうか、それだけが心配ごとです。一番大事なことは、国民にとって利便性ある公共サービスですから。全てが、ワンダフルな方向に進むといいですが。